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日本にHip Hopを浸透させたロックバンド

日本に”Hip Hop”を浸透させたDragon Ash

日本にHip Hopが浸透した背景には、Dragon Ash(ドラゴン・アッシュ)の存在が欠かせない。1998年に発売されたシングル「陽はまたのぼりくりかえす」がオリコン・チャート50位を獲得後、短期間でみるみる頭角を現してきた。

●陽はまたのぼりくりかえす (Live Version) / Dragon Ash
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=ygGN_Bnexrw[/youtube]

翌1999年3月にリリースされた「Let yourself go, Let myself go」が同チャート4位と跳ね上がり、そのわずか2ヵ月後にリリースされたシングル「Grateful Days」で見事1位を獲得。若者を中心にDragon Ash(ドラゴン・アッシュ)の認知度は拡大していった。

●Let yourself go, Let myself go / Dragon Ash
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=XYboe0q89bk[/youtube]

Dragon AshはHip Hopアーティストではない

ところで、まず断っておきたいことがある。それは、彼らが、ジャンルにとらわれない自由なロックバンドだということ。つまり、Hip Hopアーティストではない。たまたまHip Hopの表現手法である「ラップ」をとり入れたバンド、正確には”ミクスチャー系バンド”というのが正しいだろう。

ところが、多くの一般リスナーは「Dragon Ash(ドラゴン・アッシュ)はHip Hopアーティスト」だと思っていたに違いない。そもそもHip Hopの定義が提示されていないのだ。”何がHip Hopなのか”など、わかるはずもない。そして、この”一般リスナーの勘違い”をメディアは黙殺した。これには理由がある。

というのは、このときの目的が「”Hip Hop”という記号的な普及」だったということ。”Hip Hop”という言葉が世間に認知されれば目的達成。つまり、Hip Hop市場を拡大させることが最大の目的だったのである。Hip Hopを連想させる要素をもっていたDragon Ash(ドラゴン・アッシュ)のブレイクを、Hip Hopのマジョリティ化の機と見たのである。

「Hip Hop時代の到来」というバイアス

オリコン・チャートで1位を獲得したシングル「Grateful Days」には、キングギドラのMCであるZeebra(ジブラ)と、シンガーのACO(アコ)が客演で参加している。1990年代からジャパニーズHip Hopの礎を築いてきたZeebra(ジブラ)が参加したことで、古参のHip Hopリスナーからコンセンサスを得ようとしていたのがわかる。

さらに追い討ちをかけるように、ミクスチャー・バンドであったDragon Ash(ドラゴン・アッシュ)が次に切ったシングルは「I LOVE HIP HOP」。まさに”Hip Hop”というキーワードがタイトルに配置してある。あたかもHip Hopが時代の趨勢(すうせい)であるかのように見せている。「Hip Hopの時代が到来した」というバイアスをかけたのだ。

1990年代当時の日本のHip Hopをマネタイズ(収益化)するには、まだまだ発展途上だった部分がある。Dragon Ash(ドラゴン・アッシュ)の登場は、抵抗なく聴けるロックと、離れ小島にあったHip Hopをつなぐ架け橋となったのだ。

●Grateful Days [Feat. Zeebra & Aco] / Dragon Ash
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=gFbxUsihSEI[/youtube]

Viva La Revolution / Dragon Ash

アルバム「Viva La Revolution」は、一般リスナーにHip Hopを認知させた重要な作品。「Grateful Days」が収録されている。バンド色の強い曲が半数を占めている。ミクスチャー・バンドの作品として楽しんでいただきたい。

Viva La Revolution Viva La Revolution
(1999/07/23)
Dragon Ash

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Lily of da valley / Dragon Ash

「Viva La Revolution」の次に発売されたアルバム。kjのラップも洗練されている。ミクスチャー系の作品としては金字塔といっていい。多くの人が楽しめる作品。

彼らのキャリアの中でも「Viva La Revolution」と「Lily of da valley」の2作品に関しては、Hip HopとROCKの比率が完璧だった。いちばんHip Hopにウエイトを置いていたのもこの時期。

Lily of da valley Lily of da valley
(2001/03/14)
Dragon Ash、Rappagariya 他

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