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ミクスチャー系はヒップホップとは似て非なるもの

Mixture Band
Mixture Band

ミクスチャー系のバンド

日本では、ロックとヒップホップをミックスした音楽のジャンルを、Mixture Rock(ミクスチャー・ロック)と呼んでいる。

この手のバンドでは、Korn(コーン)、Rage Against The Machine(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン)、Limp Bizkit(リンプ・ビズキット)といった、海外のミクスチャー・バンドがパイオニア。

●Nookie / Limp Bizkit

比較的ヘビーなバンド・サウンドと、ラップという組み合わせは、かなり相性が良い。楽曲を聴けばわかるとおり、非常にノリやすいのが特徴だ。

ライブでの盛り上がり方も、従来のヒップホップ音楽とは異なる。生音の臨場感、オケに依存しない柔軟な演奏は、バンド形態のメリットだ。

ラップを採用したことにより、ヒップホップ・リスナーが耳を傾け、バンド畑のリスナーからも支持される、という、実に「良いトコ取り」のジャンル。それが、ミクスチャーなのだ。

日本における、ミクスチャー系のバンド

日本にミクスチャーを全国的に認知させたバンドは、Dragon Ash(ドラゴン・アッシュ)だろう。とくに、1999年にリリースしたアルバム、「Viva La Revolution」と、「Lily Of Da Valley」の2作品は、とくにラップに重きを置いている。

これらのアルバムは、国内において、多くのセールスを上げた。バンドとラップの組み合わせが、儲かるとわかれば、当然のように、二番煎じ、三番煎じのアーティストが生まれる。

Orange Range(オレンジ・レンジ)や、FLOW(フロウ)、Maximum The Hormone(マキシマム・ザ・ホルモン)などが、この流れに乗って成功を収めた。より軽快なポップス性を持たせることによって、マーケットの拡大に成功したのだった。

ヒップホップ・アーティストと、バンドのコラボ

ヒップホップから、「ラップ」という表現方法だけが切りとられ、様々なジャンルに張り付けられた。ラップが入った楽曲は、なんでも「ヒップホップ系」として扱われる風潮もある。

しかし、実際、「ヒップホップ」とは、似て非なるもの。先の、ミクスチャー・バンドも、「ミクスチャー」というジャンルのバンドとして、完結している。

それとは別に、ヒップホップのグループが、バンドとコラボレーションするケースもある。

●Judgement Night [Feat. Biohazard] / Onyx
http://www.youtube.com/watch?v=pfFD709OtFM

ヒップホップの世界でラップしている本業のMCが、バンドの楽曲でラップする。このようなケースは、企画ものが多いが、楽曲の完成度は高い。

「Judgement Night」が収録されている作品

Judgement Night Judgement Night
(1993/09/14)
Various Artists

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1993年リリースの、サウンドトラック。ヒップホップ・アーティストと、バンドのコラボレーション作品のみ収録、という強力な個性を持つ企画盤だ。

日本の企画盤

実は、日本にも、こういった企画盤は存在する。2000年に走馬党がリリースした企画盤「Mad Maxx」だ。

日本のハードロック・バンドと、ヒップホップ・シーンの第一線で活躍するMCたちが夢のコラボレーションを果たしている。

●一掃 / 宇頭巻 × リアルスタイラ
http://www.youtube.com/watch?v=s24M7sDVT4c

トラックリストは、以下の通り。このような企画盤は、あまり見かけないので、かなり貴重だ。

  1. 一掃 / 宇頭巻 × リアルスタイラ
  2. Angel Of Def / Cocobat × You The Rock
  3. トモシビ / Wrench × E.G.G. Man
  4. モッコス’ Da House / Three Side × ポチョムキン
  5. The Show Case (Three The Hard Way) / Low IQ 01 × Zeebra & UBG Family (OJ&ST, Kemu-Markit)
  6. Mad Maxx / Chest Hole × バックギャモン
  7. Wブレード / Anarchy × ラッパ我リヤ

参考作品

MAD-MAXX MAD-MAXX
(2000/02/19)
オムニバス、宇頭巻×リアルスタイラ 他

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