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1990年代ヒップホップのおすすめ12曲

ヒップホップ作品は数多くあれど、何度もリピートして聴けるような曲は案外少ないもの。今回はテイストの近い作品をピックアップして12曲並べてみるという企画。

数多くある作品のなかから「1990年代中盤ぐらいでトラックが気持ち良い作品」をテーマに選曲した結果、以下の12曲に行き着いた。

また、解説に「サンプリング元」の楽曲も紹介しているので、よかったらチェックしてみてほしい。

「I Got A Love」 / Pete Rock & C.L. Smooth (1994)

The Ambassadors(ジ・アンバサダーズ)「Ain’t Got The Love Of One Girl (On My Mind)」使いの気持ちいい1曲。

CLスムーズの渋いラップとマッチしている。

「Memory Lane」 / Nas (1994)

名盤のファースト・アルバム『Illmatic』は、すべての曲がクラシック級だが、とくに好きな曲。プリモ(DJプレミア)プロデュース作の中でも個人的には上位にくる。

「Bucktown」 / Smif-N-Wessun (1995)

BCCこと【ブートキャンプ・クリック】一派のなかではブラック・ムーンの次に有名なグループ。ジャック・ブルースの「Born To Be Blue」ネタ、ワンループもの。ゆったりと聴ける。

「Resurrection」 / Common (1994)

ジャズ・ピアニスト、アーマッド・ジャマルの「Dolphin Dance」を使った1曲。ゆっくりと体をゆらしながら1杯飲みたい。

「I Juswanna Chill」 / Large Professor (1996)

ミルト・ジャクソン「Enchanted Lady」使い。ジェームズ・ブラウンの「Funky President」の音色と組み合わせる職人技。イントロは、モンティ・アレクサンダーの「Love And Happiness」。ネタの宝庫みたいな作品。

「Change」 / Shadez Of Brooklyn (1996)

オリジナル・アルバム作品がないのが残念。アナログ・オンリーはアンダーグラウンド・ヒップホップの醍醐味。こういう曲が見つかると、かなり嬉しい。エントリーの最後に、この曲が収録されているコンピレーション・アルバム『Lost & Founds』のリンクを貼っておく。

「Shit’s Real」 / Mic Geronimo (1995)

デニース・ウィリアムス「Free」が下敷きになっている。そりゃあヒットするだろう、という気持ちよさ。

「What’s on Your Mind?」 / Eric B & Rakim (1992)

ミッドナイト・スター「Curious」使いの名曲。このネタさえ使えばオシャレになるという大ネタ中の大ネタ。ここに正確無比なライミングでお馴染みの、ラキムがラップを乗せることで異次元の領域に入る。

「This D.J.」 / Warren G (1994)

ドクター・ドレーの弟(異父兄弟)ウォーレンG。西海岸で一斉を風靡したサウンド【Gファンク】を代表する曲。こちらもミッドナイト・スター「Curious」使い。ラキム・バージョンと聴き比べても面白い。サビの「This DJ〜」っていうフレーズは、ジミー・スパイサーの「Adventures Of Super Rhyme」のオマージュだろう。

「Put It On」 / Big L (1995)

バスター・ウィリアムス「Vibrations」使い。ロード・フィネス、OCなどが所属するニューヨークのクルー、【ディギン・イン・ザ・クレイツ】の最年少メンバー。若くしてトラブルに巻き込まれ、亡くなっている。

「Big Poppa」 / The Notorious B.I.G. (1994)

ザ・ノトーリアスBIG(愛称:ビギー・スモールズ)の大ヒット曲。プロデューサーのパフ・ダディ(愛称:パフィ)には、ハードコアなトラックを所望していたそうだが、「ぜったい売れるからこれで頼む」と説得され、アイズレー・ブラザーズ「Between The Sheets」ネタに、ビギーのラップを乗せることになった。結果、米ビルボード・チャートのラップ部門で1位をとる。1996年のグラミー賞(最優秀ラップ・ソロ・パフォーマンス賞)にもノミネートされた。(ちなみに最優秀賞はクーリオの「Gangsta’s Paradise」)

「Award Tour」 / A Tribe Called Quest (1993)

【ネイティブ・タン】の代表的なグループ、トライブ・コールド・クエスト。ベースになっている元ネタは、ウェルドン・アーヴィン「We Gettin’ Down」、ほかにもミルト・ジャクソン「Olinga」、チャールズ・アーランド「Lowdown」などがサンプリングされているようだ。いつでも「トライブらしい」サウンドにできるのがすごい。

まとめ

今回、楽曲のほとんどは過去に紹介したものも多い。オススメしたい過去作というのは、それほど多くないものだ。

何10年も前の作品を、いま聴いても良いと感じるのは、まぎれもない名作である証である。これらが歴史のがれきに埋もれてしまうのは実にもったいない。がれきに埋もれて二度と聴かれない楽曲など、いくらでも存在するのだ。

私たちは、情報洪水のなかを生きている。情報の荒波にもまれ、あっという間に日常が過ぎてゆく。気づけば、それら情報のほとんどは忘ているのかもしれない。

たまには、忘却の世界から抜け出して、過去の金塊を掘り起こしてみるのも楽しいものだ。サンプリング元をたどっていけば、音楽の世界が広がって新しい「気づき」を得ることができるだろう。

作品リスト

今回、紹介した曲のリストと、収録アルバムのAmazonリンク(アナログのみの場合はリンクなし)。

  1. I Got A Love / Pete Rock & C.L. Smooth
  2. Memory Lane / Nas
  3. Bucktown / Smif-N-Wessun
  4. Resurrection / Common
  5. I Juswanna Chill / Large Professor
  6. Change / Shadez Of Brooklyn
  7. Shit’s Real / Mic Geronimo
  8. What’s on Your Mind? / Eric B & Rakim
  9. This D.J. / Warren G
  10. Put It On / Big L
  11. Big Poppa / The Notorious B.I.G.
  12. Award Tour / A Tribe Called Quest