発祥の地をめぐっての抗争 ~ KRSワン vs MCシャン

ヒップホップ発祥の地をめぐったビーフ。

ヒップホップ発祥の地をめぐっての抗争
~MCシャンとKRSワンのビーフ(ケンカ)

1970年代の初頭、クール・ハークというDJがターンテーブルを使ってヒップホップを誕生させた。それから15年以上が過ぎた1988年のある日のこと。

クイーンズ出身のラッパーであるMCシャンが「The Bridge」という曲を発表した。この曲には「クイーンズがヒップホップ発祥の地である」ともとれるような表現が含まれていた。

(ヒップホップ発祥の地として知られている)サウス・ブロンクス出身のKRSワンは「The Bridge Is Over」、「South Bronx」という曲中で、反論。ビーフが発生する。

目次

登場人物

KRS-One
KRS-One(KRSワン)
KRS-One(KRSワン)はサウス・ブロンクスのMC。クイーンズがヒップホップ発祥の地ともとれる発言をしたMC Shan(MCシャン)に攻撃した。
MC Shan
MC Shan(MCシャン)
クイーンズのMC。Juice Crew(ジュース・クルー)所属。当時、無名だったKRS-Oneに対して、Juice Crewは知名度があった。このため、KRS-Oneが売名目的にビーフを行なったという説もある。
Marley Marl
Marley Marl(マーリー・マール)
Marley Marl(マーリー・マール)はJuice Crewのプロデューサー。因縁をつけられたMC Shanの援護に回っている。

ビーフの概要

発言者 発言内容 楽曲
Intro 「今夜はMCシャンとマーリー・マールの登場。ツアーから戻ってきた彼らが、彼らがどこから来たのか少々みなさんに話したいそうです」 The Bridge
MC Shan 「すべてがどこから始まったのか。記念碑が目の前にそびえ立つ。さあ耳を済ませて良く聴け!その場所がどこかって?ザ・ブリッジ、クイーンズ・ブリッジ‥」 The Bridge
KRS-One 「俺らはBDPクルーだ。あっち側のアイツらは、ナンもわかってねーみてえだから、みんなに伝えなきゃならねえってワケよ‥」

「ヒップホップがクイーンズから始まってるって?そんなデマをブロンクスで口にしたら生きて帰れないかもよ?なぜなら、お前がいるのはサウス・ブロンクス、サウス・サウス・ブロンクス‥」
South Bronx
Marley Marl 「シャン、おまえのレコードでヒップホップがブリッジで始まったなんて言ったっけ?」 Kill That Noise
MC Shan 「言ってねーよ!」 Kill That Noise
KRS-One 「マンハッタンはずっと調子いいし、ブルックリンも頭角を現してきたな。当然ブロンクスは進化し続けてるけど、相変わらずクイーンズはニセモンばっかだね~」 The Bridge Is Over

このあたりでバトルは終息。その後、1995年には正式に手打ちとなり、めでたくスプライトのCMで共演を果たしたとのこと。ヒップホップの歴史のなかでも有名なこのビーフ(ケンカ)によって、アーティストの地元を主張するスタイルが定着したと言われている。

参考作品

Down By Law / MC Shan

Down By Law
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先述の「The Bridge」「Kill That Noise」収録。
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Criminal Minded / Boogie Down Productions

Criminal Minded
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KRS-One(KRSワン)率いるBoogie Down Productions(ブギー・ダウン・プロダクションズ)のファースト・アルバム「South Bronx」「The Bridge Is Over」収録。
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ヒップホップの歴史