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『G-Funk』とはどのようなものかがよくわかるムービーいろいろ

アメリカ合衆国の地図

Hip Hopの歴史は大まかにいうと2つある。ひとつは、ニューヨーク州(上記の地図上で赤く塗りつぶされた地域)で生まれた「東海岸Hip Hop」だ。当サイトで紹介しているUS Hip Hopのほとんどが、この東海岸(イースト・コースト)で生まれたHip Hopである。

それとは別に、独自の歴史を歩んできたのが、カリフォルニア州(上記の地図上で青く塗りつぶされた地域)のロサンゼルスで生まれた「西海岸Hip Hop」。一般的には「ウェッサイ」と呼ばれている。

1980年代後期のウェッサイ

1980年代後半になると、ニューヨークで生まれたHip Hopの存在も全国的に認知されはじめてきた。すると、西海岸でもHip Hop活動が盛んになり、東海岸Hip Hopとはのそれとはまったく異なる歴史をつむいでいくことになる。

PE(パブリック・エネミー)やBDP(ブギー・ダウン・プロダクションズ)のような政治的な内容をRAPする当時の「東海岸Hip Hop」の風潮とは異なり、西海岸では、MC Hammer(MCハマー)を代表とする「POP RAP」というポップスの要素を取り入れたジャンルが隆盛していた。

軽快なダンスとポップスに迎合したRAPはたちまちヒット。MC Hammer(MCハマー)の大ヒットシングル「U Can’t Touch This」を収録したセカンド・アルバム「Please Hammer, Don’t Hurt ‘Em」は1000万枚以上のセールスを上げたという。

●U Can’t Touch This / MC Hammer
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=otCpCn0l4Wo&ob=av2e[/youtube]

深刻な治安悪化によるHip Hopのギャングスタ化

ロサンゼルスでは、治安の悪化が問題となっていた。Crips(クリップス)とBloods(ブラッズ)という2大ストリート・ギャングがその悪名を馳せ、麻薬密売、強盗、恐喝、殺人などを繰り返していた。Crips(クリップス)は青、Bloods(ブラッズ)は赤。それぞれのチームカラーを身にまとい、相手チームを排除すべく、ギャング同士の抗争も絶えなかった。

そんなギャングのエッセンスが具現化したようなユニット、N.W.A.(エヌ・ダブリュー・エー)が台頭する。その暴力的な歌詞はストリート・ギャングたちの支持を集め、大ヒットを収めた。その反面、ギャング活動の活発化に貢献するという副作用もあった。

●Straight Outta Compton / N.W.A.
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=TMZi25Pq3T8&ob=av3e[/youtube]

激しいライムの応酬が刺激的な1曲。N.W.A.(エヌ・ダブリュー・エー)のファースト・アルバム「Straight Outta Compton」に収録されている。

Straight Outta Compton Straight Outta Compton
(2002/09/24)
NWA

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1990年代初頭のウェッサイ

そのまま西海岸は「ギャングスタRAP」が流行となる。1990年代初頭は、なんちゃってギャングスタが架空の犯罪行為を並べたてる内容のものも多かった。しかし、とにかく刺激的な毒舌と性的な表現が当時の若者にはウケたのだった。

メンバー同士の確執から、N.W.A.は自然消滅してしまった。脱退したDr. Dre(ドクター・ドレ)は、獄中のSnoop Doggy Dogg(スヌープ・ドギー・ドッグ)を捕まえて、Hip Hopに新たな手法をとりいれた音楽をはじめた。

G-Funkの隆盛

Dr. Dre(ドクター・ドレ)の編み出した音楽はG-Funk(Gファンク)と呼ばれるもの。1970年代のP-Funk(Pファンク)ネタをサンプリング。遅めのビートにまったりと余裕のRAPが特徴的だ。

このスタイルにSnoop Doggy Dogg(スヌープ・ドギー・ドッグ)のヌメっとした声が完璧にハマり、初のG-FunkアルバムであるDr. Dre(ドクター・ドレ)の「The Chronic」は大ヒットを記録した。

●Nuthin’ But A “G” Thang [Feat. Snoop Doggy Dogg] / Dr. Dre
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=_qkP8SvHvaU[/youtube]

もっとも有名なG-Funkの曲。

Chronic Chronic
(2001/05/22)
Dr Dre

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Snoop Doggy Doggの大フィーバー

1992年にリリースされたDr. Dre(ドクター・ドレ)の「The Chronic」。そのほとんどの曲でマイクを握っていたSnoop Doggy Dogg(スヌープ・ドギー・ドッグ)に注目が集まると、翌1993年にアルバム「Doggystyle」をリリース。こちらも大ヒットとなる。

●Gin And Juice [Feat. Jewell] / Snoop Doggy Dogg
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=C0fmAzAOFE8&feature=related[/youtube]

Snoop Doggy Dogg(スヌープ・ドギー・ドッグ)のファースト・アルバム「Doggystyle」からの1曲。G-Funkを語る上で「The Chronic」と「Doggystyle」は絶対に押さえておくべき作品だ。

Doggy Style Doggy Style
(1993/11/23)
Snoop Doggy Dogg

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Dr. Dre(ドクター・ドレ)の弟が新たなG-Funkを提唱

1994年には、Dr. Dre(ドクター・ドレ)の実弟であるWarren G(ウォーレンG)が、アルバム「Regulate… G Funk Era」をリリース。G-Funkの手法を取り入れながら、よりPOP層にも耳あたりのよいサウンドを完成させた。

Warren G(ウォーレンG)の声もやさしく、哀愁ただようG-Funkサウンドにマッチ。とうぜん大ヒットした。

●This D.J. [Feat. O.G.L.B.] / Warren G
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=jEJa7t4ST0I&ob=av2e[/youtube]

Warren G(ウォーレンG)のファースト・アルバム「Regulate… G Funk Era」からのシングル曲。この曲と人気を二分するシングルが「Regulate」。こちらにはNate Dogg(ネイト・ドッグ)がコーラスで参加している。

Regulate G-Funk Era Regulate G-Funk Era
(1994/06/07)
Warren G

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Tha Dogg Pound(ザ・ドッグ・パウンド)という狂犬

Snoop Doggy Dogg(スヌープ・ドギー・ドッグ)周辺の”とりまき”集団DPG(ディー・ピー・ジー)。なかでも、Kurupt(コラプト)とDaz Dillinger(ダズ・ディリンジャー)で構成されたラップ・デュオがTha Dogg Pound(ザ・ドッグ・パウンド)である。

彼らはとくに攻撃的なスタイルを貫き、「New York New York」という曲では、東海岸Hip Hopを痛烈にdissしている。(後に、Capone-N-Noreaga(カポーン・アンド・ノリエガ)が「L.A., L.A」で応戦)

●Let’s Play House [Feat. Dr. Dre, Michel’Le & Nate Dogg] / Tha Dogg Pound
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=Qx9yypsIW_Q&feature=related[/youtube]

ファースト・アルバム「Tha Dogg Food」からのシングル曲。王道のG-Funkサウンドを楽しむことができる。

Dogg Food Dogg Food
(1995/10/31)
Tha Dogg Pound

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おまけ

個人的に好きなのは2Pac(トゥパック)の「Can’t C Me」。2Pac(トゥパック)のカリスマ的な人気も最高潮だった時期の作品。出所後1996年にリリースされたHip Hop作品としては初の2枚組アルバム「All Eyez On Me」からの1曲。

●Can’t C Me [Feat. George Clinton] / 2Pac
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=cndLZB9KNqw&feature=related[/youtube]

2Pac(トゥパック)とG-Funkの組み合わせは、かなり最強。また、Dr. Dre (ドクター・ドレ)とのタッグでは「California Love」が最も有名。未聴は危険!

All Eyez on Me All Eyez on Me
(1996/02/13)
2pac

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