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プレイリスト

哀愁系1990年代ヒップホップのおすすめ13曲

はじめてハードコア・ヒップホップを聴いたとき衝撃は今でも覚えている。どれだけ「ワル」か、という尺度でヒップホップを聴いていた。つまり、刺激的であるほどカッコイイという考え方だ。

しかしあるとき以下のようなテイストの作品を聴くようになった。思えばこういった曲に出会ったとき、ほんとうに好きなヒップホップ作品はこういうのだったんだ、と気づいた気がする。

クラブで盛り上がる曲ばかりではなく、大人しいトラックでヒップホップを楽しむのもひとつのやり方である。クラブヒットした楽曲もいくつか入っているので、ぜひ聴いてみてほしい。

Keep It Real / Jamal (1995)

Def Squad(デフ・スクワッド)の秘蔵っ子、Jamal(ジャマール)の目玉曲。ピアノのループが心地よい。

Burn Me Slow / O.C. (1998)

ゆっくりとオレを燃やしてくれ。自虐的なタイトルに合わせた彩度の低いトラックが大人の哀愁を漂わせる。O.C.(オー・シー)のタイトなラップも楽曲とうまく融合している。

Still Not A Player / Big Pun (1998)

オレはプレイヤーじゃねえ。というタイトルとは裏腹に、リリックの内容はプレイヤーにしか聞こえないという、とんち(?)のきいた曲。あくまでもトラックが哀愁系ということで了承してほしい。

Just Another Case [Feat. Slick Rick] / CRU (1997)

天下のDef Jam(デフ・ジャム)からアルバムを1枚だけリリースした知る人ぞ知る3人組グループ。スカルとスマイルマークが融合したこの曲のレコード・ジャケット(参考記事:【シングル】Just Another Case / CRU)はインパクトがでかい。

Mind Blowin’ [Feat. Vinia Mojica] / Pete Rock (1999)

こお曲をはじめて聴いたとき、なんてオトナなトラックなんだと思った。Pete Rock(ピート・ロック)の声も渋いし、今回の企画ではどストライクの1曲。

Runnin’ / The Pharcyde (1995)

The Pharcyde(ファーサイド)の曲のなかでは有名な曲。この曲を収録しているセカンド・アルバム「Labcabincalifornia」は哀愁系トラックが意外と多いのでこの手のテイストが好きならチェックしてみては?

Ms. Fat Booty / Mos Def (1999)

まずMos Def(モス・デフ)の声が渋過ぎてかっこ良すぎる。それに加えて声ネタのループが個人的にツボだったので今回のプレイリストに採用した。

Executive Decision / The Firm (1997)

Nas(ナズ)AZ、Nature(ネイチャー)、Foxy Brown(フォクシー・ブラウン)によるユニットの曲。ヴァイオリンのループが哀愁を醸す。

Wrekonize (Remix) / Smif-N-Wessun (1995)

シングル用に気持ちいいトラックを使用したリミックス。アルバムには未収録。アルバム収録バージョンのオリジナル「Wrekonize」はかなりドープな仕上がり。

Hell On Earth (Front Lines) / Mobb Deep (1996)

アルバムタイトルになったこの曲。このダークなテイストがMobb Deep(モブ・ディープ)の真骨頂だと勝手に思っている。

Hip 2 Da Game / Lord Finesse (1995)

さすが「皿を掘る集団」に所属しているだけあって、ネタの扱いがうまい。Lord Finesse(ロード・フィネス)は変に力を入れずにラップするため、まったりと聴けるのがいい。

Redrum / Nine (1995)

アクが強いラッパーなので迷ったが採用した。この手のトラックを乗りこなすには個性の強いNine(ナイン)のようなラッパーに任せておくといい。

Retrospect For Life [Feat. Lauryn Hill] / Common (1997)

ラストを飾るのは「生の追憶」というタイトルで、中絶をテーマにした曲。Common(コモン)が中絶させた男を演じ、1ヴァース目は生まれなかった子供に、2ヴァース目は中絶した女性にラップで懺悔している。サビはLauryn Hill(ローリン・ヒル)がStevie Wonder(スティーヴィー・ワンダー)の「Never Dreamed You’d Leave In Summer」の一説を歌い上げる。サンプリングの最終形態ともいえる最高傑作。でも日本語でやったら問題作だろうな。

まとめ

今回は「哀愁系」というテーマで楽曲を集めた。しかしあくまでもトラックにどことなく哀愁が漂っている曲、と解釈してほしい。つまりリリックは考慮していない。

歌詞がわからなくてもトラックが気持ちよければ環境音楽たりうる。むしろ英語の意味が入ってこないほうが気持ち良く聴けるかもしれない。

夜中にひとりでドライブしながらこのプレイリストを流せば、自分の世界にひたれること請け合い。ひとりでスコッチを舐めながら聴くのもいいだろう。

トラックリスト

  1. Keep It Real / Jamal (1995)
  2. Burn Me Slow / O.C. (1998)
  3. Still Not A Player / Big Pun (1998)
  4. Just Another Case [Feat. Slick Rick] / CRU (1997)
  5. Mind Blowin’ [Feat. Vinia Mojica] / Pete Rock (1999)
  6. Runnin’ / The Pharcyde (1995)
  7. Ms. Fat Booty / Mos Def (1999)
  8. Executive Decision / The Firm (1997)
  9. Wrekonize (Remix) / Smif-N-Wessun (1995)
  10. Hell On Earth (Front Lines) / Mobb Deep (1996)
  11. Hip 2 Da Game / Lord Finesse (1995)
  12. Redrum / Nine (1995)
  13. Retrospect For Life [Feat. Lauryn Hill] / Common (1997)