トラックがかっこいいUSヒップホップ作品はたくさんあるが、今回は「トラックがシリアスでドープなテイストがかっこいい曲」を集めてみた。もちろん「シリアス」「ドープ」というのは個人的な感覚である。おまけにリリックの内容も考慮されていないことをあらかじめ断っておく。
低音を効かせたサウンドが魅力なので、できれば良いスピーカーか、ヘッドフォン(イヤホン)などで聴いてもらいたい。
Dangerous Ground [Feat. Streetlife] / Method Man (1998年)
Method Man(メソッド・マン)は、スモーキーな声と独特のフロウを聴けば、すぐにメス(Method Man)だとわかる強力なキャラクターを持ったラッパーだ。個性派集団のWu-Tang Clan(ウータン・クラン)の中にあっても、エース級の存在感を醸している。
True Master(トゥルー・マスター)というウータンお抱えのプロデューサーが手がけるこの曲。これこそ「シリアス」かつ「ドープ」なトラックではないだろうか。
D. Original / Jeru The Damaja (1994年)
Jeru The Damaja(ジェルー・ザ・ダメイジャ)は、Gang Starr(ギャング・スター)の一派(ギャングスター・ファンデーション)に所属しているラッパー。というわけで、ギャング・スターのDJであるDJ Premier(DJプレミア)がプロデュースしている。
この曲が収録されているジェルーのファースト・アルバム「The Sun Rises in the East」はプリモ(DJ Premier)がほとんどの曲をプロデュースしている。それだけで、おすすめアルバムになってしまうのもすごいが、ラッパーとしてのジェルーの実力によるところも多分にある。
Masta I.C. / Mic Geronimo (1995年)
本国では、その容姿からアイドル扱いされるほど人気があったというMic Geronimo(マイク・ジェロニモ)の有名曲。ファースト・アルバム「The Natural」に収録されている。
ちなみに日本では、Shakkazombie(シャカゾンビ)がこのトラックを使用している。
●Who’s That? a.k.a. Live [Feat. Dev-Large] / Shakkazombie (1996年)
この曲は、DJ Masterkey(DJマスターキー)のアルバム「Far East Coasting」に収録されている。
Shook Ones, Pt.2 / Mobb Deep (1995年)
たぶんMobb Deep(モブ・ディープ)の中でもっとも有名な曲。ほんとうにカッコイイな。Eminem(エミネム)の映画でもアルバム「The Infamous」収録。このアルバムも名盤なので、「Shook Ones, Pt.2」のテイストが好きならハマる1枚になるだろう。
Stay Real / Erick Eermon (1993年)
EPMDから、Erick Sermon(エリック・サーモン)のソロ曲。ソロ・アルバム「No Pressure」に収録されている。プロモーション・ヴィデオでは若干コミカルだが、トラックは抜群にカッコイイ。ラップの出番はないが、ヴィデオの終盤に登場するRedman(レッドマン)の存在感がヤバイ。
Everyday Struggle / The Notorious B.I.G. (1994年)
Biggie Smalls(ビギー・スモールズ)の愛称で親しまれた、The Notorious B.I.G.(ザ・ノトーリアスBIG)の隠れた名曲。デビュー・アルバム「Ready To Die」収録。サビで「もう生きたくない」なんて言ってしまうネガティブ・ソングだが、トラックが好きすぎて何度も聴いた覚えがある。
Broken Language [Feat. Trigger Tha Gambler] / Smoothe Da Hustler (1996年)
Smoothe Da Hustler(スムーズ・ダ・ハスラー)とTrigger Tha Gambler(トリガー・ザ・ギャンブラー)の兄弟マイクリレーもの。トラックが悪すぎて驚く。こんなにシンプルなループなのにね。
日本では、ブッダ・ブランドがこのトラックを使ってフリースタイルをかましている。
●Buddha Brand Studio Live Freestyle’96? / Buddha Brand (1996年)
セカンド・ミニアルバム「黒船」収録。この曲では「Broken Language」とBlack Moon(ブラック・ムーン)の「How Many MC’s…」が使用されている。Nipps(ニップス)によるアカペラ・ラップが圧巻。「並じゃないから people call Me 変態」、、、ドープだ。
Wreckognize [Feat. Black Rob] / CRU (1997年)
3人組グループ、CRU(クルー)がデフ・ジャムからリリースした唯一のアルバムが、この曲を収録した「Da Dirty 30」である。アルバム・タイトルに文字って無理やり30曲ぶちこんでいるが、大半はスキットで、ラップが入った曲はあまり多くない。しかし、ラップが入った曲はすべて無視できないクオリティ。というか名曲ばかりなので、アルバムはかなりおすすめ。
Lune TNS / Company Flow (1997年)
アングラ(underground)好きなら、Company Flow(カンパニー・フロウ)は通っているだろう。彼らのファースト・アルバム「Funcrusher Plus」は、個人的にも心のオールタイム・ベスト5に入る。
Street Struck / Big L (1995年)
Big L(ビッグL)は、D.I.T.C.(ディギン・イン・ザ・クレイツ)の最年少メンバー。よほどラップの才能があったのだろう。この曲は、同じくD.I.T.C.のメンバーであるLord Finesse(ロード・フィネス)がプロデュースしている。
まとめ
ドープという言葉に明確な定義があるわけでもないし、むしろ意味すらない。あるものを指して「これがドープだ!」という人たちが示すもの。これらを自分の頭の中で整理したとき、自分にとっての「ドープ」が定義される。そういう意味では、ここに挙げた10曲がほんとうに「ドープ」なのかはわからない。
一見バラバラに見えるかもしれないが、あくまでも自分が持っている「ドープ」、「シリアス」という意味をもつ同カテゴリーの曲を並べたつもりだ。この「ドープな感覚」を共有できたら嬉しいことだが、まあ感性はひとそれぞれということで。
トラックリスト
今回、紹介した曲のリストと、収録アルバムのAmazonリンク(アナログのみの場合はリンクなし)。
- Dangerous Ground [Feat. Streetlife] / Method Man (1998年)
- D. Original / Jeru The Damaja (1994年)
- Masta I.C. / Mic Geronimo (1995年)
- Shook Ones, Pt.2 / Mobb Deep (1995年)
- Stay Real / Erick Eermon (1993年)
- Everyday Struggle / The Notorious B.I.G. (1994年)
- Broken Language [Feat. Trigger Tha Gambler] / Smoothe Da Hustler (1996年)
- Wreckognize [Feat. Black Rob] / CRU (1997年)
- Lune TNS / Company Flow (1997年)
- Street Struck / Big L (1995年)