実力を考えればもっと評価すべきMCのひとり
1990年代初頭のHip Hopシーンを席巻したネイティブ・タンという集団。その中心的なグループのひとつがこのA Tribe Called Quest(ア・トライブ・コールド・クエスト)だ。名前が長いので、単に”トライブ”とか”A.T.C.Q.(エー・ティー・シー・キュー)”と呼ぶのが一般的だろう。
当時のHip Hopといえば、性的、暴力的な要素を全面的に出した「不良」の音楽というイメージがあった。自分がいかにワルなのかをアピールする「自称ハードコア」が蔓延、タフでハードな世界でハスリングするのが男の道とでも言わんばかりに、ギャングのまねごとをRAPしていた。
ところが、ネイティブ・タンという集団は、ギャング映画のような生活ではなく、あくまで”日常”をRAPする方法でHip Hopを表現した。たしかに考えてみれば”日常”こそがリアルだ。等身大の自分を表現し音楽を楽しむ。ジャズやレアグルーブなどを取り入れサンプリングした「不良」でなくても楽しめるHip Hopを提案したのはネイティブ・タンの功績である。
●Award Tour / A Tribe Called Quest
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=qsEzv_WanyA&feature=related[/youtube]
1993年にリリースされたサード・アルバム「Midnight Marauders」収録シングル。
■「Award Tour」でサンプリングされている曲
- Lowdown / Charles Earland
- Hobo (Scratch) / Malcolm McLaren
- Olinga / Milt Jackson
- We Gettin’ Down / Weldon Irvine
■収録アルバム
Midnight Marauders (1993/11/09) Tribe Called Quest |