かつては、「日本語ラップ冬の時代」などと呼ばれた日本のヒップホップ・シーン。
1990年代初頭からジャパニーズ・ヒップホップをやっていたアーティストたちは、アンダーグラウンド(水面下)での活動を余儀なくされていた。
まだ、インターネットが普及していない時代に名前を売るには、現場での活動を続けるしかない。
活動拠点は、おもに深夜のクラブ。毎週のようにイベントを開催し、地道にファンを獲得し続けたのである。
「日本語ラップ冬の時代」を牽引したカリスマ「雷」
イベントの内容次第で、シビアにファンの獲得数が変わる。また、リピーターを生まなければ、この小さなマーケットでは生き残ることができない。
そんなことまで考えていたのかは、わからないが、とにかく毎夜、全力でライブに臨んでいたはずだ。
なかでも、You The Rock(ユウ・ザ・ロック)を中心に結成された雷(カミナリ)はカルト的な人気があった。
Rino(リノ)やTwigy(ツイギー)といった特異なラッパーたちによる熱いパフォーマンスは、ファンたちの心をわしづかみにした。
RINO × DJ YAS live @鬼だまり’96
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=NB6o_mdX328[/youtube]
雷としての曲は「夜ジェット/カミナリ」という2枚組みのレコード・シングルのみ。
しかしながら、このレコードの中に封入してあるエネルギー量はとてつもない。
夜ジェット(Live ver 95~96年) / 雷
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=MRl1B-Sv7kM[/youtube]
Lamp Eye(ランプ・アイ)名義ではあるが「証言」という曲も雷の代表曲である。
イベント「さんピンCamp」にはTwigy(ツイギー)を除く雷のメンバーが終結した。
You The Rock(ユウ・ザ・ロック)が実質、シーンの中心人物だったのは間違いない。
このイベントは「日本語ラップ冬の時代」におけるひとつの集大成といえるだろう。
「夜ジェット」「証言」を収録したアルバム
2000年代に入ってからの雷家族
2000年代に入って、彼らは雷家族にグループ名を変更する。
彼らよりも少し若いメンバーなどを加えて活動を再開。
2004年には待望のアルバム「大災害」をリリース。
ロデオドライブ / KAMINARI KAZOKU
その後もメンバーはそれぞれのソロ活動を継続してきた。
You The Rock(ユウ・ザ・ロック)もテレビやラジオに出演し、ヒップホップの魅力を伝えていた。
2010 年には「Nippon Rap Academy」というヒップホップの学校を開校する予定であった。
しかし、校長になるはずだったYou The Rock(ユウ・ザ・ロック)が大麻取締法違反で再逮捕(2005年にも大麻所持の前科があった)され、開校は幻となった。
You The Rockの逮捕後
その後、You The Rock(ユウ・ザ・ロック)は音楽業界から姿を消した。20年間日本のヒップホップ・シーンを牽引してきた第一人者が、今後は住職になるという旨の発言をしているらしい。
雷家族の面々は、You The Rock(ユウ・ザ・ロック)の復帰を願っている。彼の復帰を切に願った曲がこれだ。
2U / 雷
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=mrfMAYDAnl8[/youtube]
2011年、最新作「雷警報」がリリースされた。今後の活躍を期待する。
参考作品
えん突つサンプラー(1) (2003/02/21) オムニバス、C-KONG 他 |