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エッセイ

雑誌を自炊してデジタルデータに保存した

目次

  • はじめに
  • いらないものがスペースを圧迫
  • データにすれば捨てられる
  • 自炊の方法
  • 注意事項
  • まとめ

はじめに

雑誌『WOOFIN’』を自炊後のiPad閲覧画面

今回は、「クローゼットの奥で20年ぐらい眠っていた雑誌『WOOFIN’』などを自炊して、デジタルデータに保存。雑誌を処分したらスッキリした」という話。

捨てるのをためらっていたら、ずっと捨られない。いつか出番が来る(かも)と思っていたが、とうとう出番は来なかった。

いらないものがスペースを圧迫

スキャン済みの雑誌の一部

よくよく部屋を見渡すと、「いつも目に入るけど、ぜんぜん使ってないもの」が多いことに気づく。これらは本当に必要なのだろうか。たぶん、いらない。

とはいえ処分するのは面倒だし、もしかしたら、いつか使うかもしれない。そんなふうに自分を納得させて、今日も見て見ぬふりをする。

データにすれば捨てられる

どうして捨てられないのか。その答えは実にシンプル。「いつか使うかもしれない」と思っているからだ。

私もいらない雑誌をずっと放置していた。雑誌に記載されている「資料としての価値」の可能性を捨てきれなかったのだ。

でも考えてみると、必要だったのは「紙」という物体ではなく、物理的な質量を持たない「内容」のほうなのだと気付いた。つまり、雑誌をスキャンして「データ」としてパソコンにぶち込んでおけば、それで済む話だったのである。

自炊の方法

というわけで、自炊の具体的な方法を紹介していく。

おおまかな作業工程は以下の4つ。

  1. データの保存場所を確保する
  2. スキャナーの種類を決める
  3. 雑誌を裁断する
  4. 雑誌をスキャンする

自炊に必要なのは、基本的にパソコンとスキャナーだけ。裁断するなら、裁断機やカッター、ハサミなどが必要になる。

スキャナーによっては、裁断しなくても取り込めるモデルもある。その場合はステップ3の裁断は飛ばして構わない。

1、データの保存場所を確保する

Box Driveのダウンロード・ページ

パソコンや外付けハードディスクに保存するのであれば、容量を確認しておく。

私の場合は、オンラインストレージ・サービスを利用して、クラウドに保存する方法を選択した。はじめは、もともと使っていたDropboxに保存していたのだが、無料パックだったので、途中で容量が足りなくなり、別の方法を考える羽目になった。

グーグル・ドライブも考えたが、結果的に「BOX」というサービスに決めた。決め手となったのは、無料会員で10GBの容量があったから。今のところ、雑誌のデータを保存するためだけに使用している。

ちなみに、Dropboxの有料会員になれば、2TBという大容量を使えるので、これとも少し迷った。でも、使用するかわからないデータに会費を支払うことに抵抗があり、今回は断念。

2、スキャナーの種類を決める

2012年に購入したスキャナー「ScanSnap1300」

保存場所も確保できたので、実際に自炊を開始。まずは雑誌を裁断する。スキャナーの種類によっては、本を広げたままデータを取り込むタイプのスキャナーもある。こちらなら裁断しなくてもよい。

ただ今回は、かなり前に購入していたスキャナー(裁断した誌面を1枚ずつ取り込むタイプのスキャナー)を使用したので、今回は裁断する。

それぞれ目的や予算などを考慮してスキャナーを選択するのがいいだろう。

3、裁断する

購入した裁断機「プラス 裁断機 自炊 A4 コンパクト PK-213 26-366

雑誌を裁断するときに便利なのが裁断機だ。厚みのある本を1度にぶった切れる。ハサミでやるよりも断面が綺麗だし、裁断時間も圧倒的に短縮できる。なにより、裁断機をつかって雑誌を1撃でサクっと斬り落とす快感は、やみつきになる。

裁断する前に、背表紙の「ホチキスの芯を取り除く」という、地味で果てしない作業がある。これはかなり面倒だし、指先を怪我してしまうリスクもある。この面倒な作業をすることで、裁断時、ホチキスによって裁断機の刃が欠けてしまうのを防ぐ。

ちなみに、本を閉じたままホチキスの留まっている側の1cmぐらいを切り落とす方法であれば、ホチキスの芯を取り除く必要はない。

4、スキャンする

裁断した雑誌を1枚ずつスキャナーで読み取っていく。スキャナーはパソコンにつないで、付属のソフトやアプリで起動する。読み取ったデータをPDFで保存し、ファイル名をつけて完成。

注意事項

デバイスで利用する場合

デバイス(スマホ、タブレット、PCなど)で、自炊したデータを頻繁に読む場合は、ファイルを軽量化しておいた方がいい。ファイルが重いと、データを読み込むのに時間がかかるからだ。

その際はバックアップのため、元データ(重い方)を残しておいた方がよい。別で軽量化したファイルを作って、デバイス用に利用するのが無難である。

PDFデータを資料として利用する場合は、文字認識しておくと便利。いわゆる「OCRソフト」と呼ばれるもので、これを用いれば、スキャンした画像の文字を選択したり、編集もできるようになる。

ちなみに私の場合、雑誌のデータをPDFに保存できれば目的達成だったので、軽量化も文字認識もやっていない。

自炊代行業者に依頼する

自炊するにあたり、代行業者に外注することも考えていた。というか、いつか外注しようと思っていたら長い年月が経っていて、結局やらなかったというのが本当のところだ。

しかも、今は著作権の問題がデリケートで、他者による自炊は結構グレーらしい。まとまった量になると料金もバカにならないし、個人的には、労力はかかるが自分でやることをお勧めする。

まとめ

もともと必要のなかったものを、わざわざ時間をかけて自炊する。実にバカらしい作業である。捨てることに躊躇しない人から見たら理解に苦しむだろう。

だが、できないものはできない。どうしても捨てられないのである。だから「データとして保存する」という儀式をおこない、「捨ててもよい」という免罪符を得るのだ。

処分することによって、物理的なスペースが広くなっていくのは気もちいい。やってみればわかる。もともと捨てるのが得意な人は、当たり前のことかもしれない。

参考商品

今回断裁に使用した断裁機。レバーを下ろすと一気に本が切れる。腕力はぜんぜん必要なかった。指も入らないので安全。でも、ただ紙を切るアイテムに2万円以上出せるならおすすめ。

本に定規をあてて、ピザを切る丸いカッターみたいなやつを往復させて切る「ディスクカッター」というものもある。ディスクカッターの方が、安く手に入りそうだ。