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ヒップホップ映画でみる、郊外型アラサー女子のリアル

SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム
SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム

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前作『SR サイタマノラッパー』の続編にあたる今作は、群馬が舞台。

社会人となり、20代後半になったアラサー女性たちが、10年前にやっていたヒップホップ・ユニットを再結成する、という話。

前作のレビュー「日本のヒップホップでメシを食べようと思ったらまず観たい映画」は、もしも現実にあんな人たちがいたら、メシを食っていけるのか、というテーマで書いた。

しかし、今作においては、「ヒップホップで食っていけるか?」という議論は必要ない。(たぶん、前作でも必要なかった)

なぜなら、劇中に登場する彼女たちには、そもそもヒップホップでメシを食っていこうとする意志がない(ように)感じるからだ。

学生のころ、学園祭のようなライブで盛り上がった楽しい記憶。それを社会人になった今、ふたたび再現しようというのが今作の目的である。

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一皮むけたSho-Gun(ショーグン)のIKKU(イック)とTOM(トム)

今作で注目すべきは、前作の主人公、IKKU(イック)とTOM(トム)の成長である。

前作の2人を観ていて感じた「恥ずかしい」という要素が、今作では感じられなかった。

卑屈な態度で生きている人間は、他人から見ても「恥ずかしい」と感じるもの。

そして、その「他人からの視線や評価」を気にして生きていると、ますます卑屈な人間になってしまう。

前作で、さんざん「イタい目」に遭って、それでもなお、ラップをやっていく、という決意を固めた彼らは、完全に開き直っていた。

カッコ悪くても、他人の評価を気にせず、「やりたいこと」をやる。そんな気概を、今作では感じるのだ。

しっかりと自信をもっていれば、「恥ずかしい」という感情など生まれようもない。

そして、境遇はどうあれ、(自分の)人生を楽しんでいる、という自覚こそが、「幸せ」なのだとわかった。

ヒップホップ・ユニット「B-hack」の再結成

さて、今作に登場する主人公たちは、女性ヒップホップ・ユニット「B-hack」としての活動を再開するのだが、これがまた前途多難である。

なにしろ高校の学園祭レベルのパフォーマンスで、いい大人が人前でライブするというのだから、自ら「公開処刑」を執行しようとしているようなものである。

実際、劇中にLIVEシーンがある。本人たちにとっては不本意な状況でのライブではあるが、彼女たちの実力を把握するには十分なLIVEだった。

自分たちのパフォーマンスに自信を感じない。むしろ、「恥ずかしい」とさえ思っている。

そんな彼女たちが、LIVEをやっても、客まで恥ずかしくなるだけである。

たとえ、服装をキメて、本気でパフォーマンスをしたとしても、内容に大きな差は見られないだろう。

ならば、他人を巻き込まず、自分たちで勝手に「遊んで」いた方が、やけどせずに済むというものだ。

郊外型アラサー女子の実態

郊外で暮らす、未婚のアラサー女性に待ち受けていたものは、地味で平凡な毎日。

ただ年齢を重ねていくだけの日々。楽しかった学生生活に戻りたいと思うのも無理はないだろう。

しかし現実は現実、である。

自分がこれまでとってきた行動、考えたことの集大成が、「今の自分」を形成している。それ以上でも以下でもない。

たまにはノスタルジックな感傷に浸ってみるのもいい。ただ、そればかりでは、あとになって後悔することになる。

未来を見ていない生活に、成長は望めないのだ。

そして、いつの間にか「若さ」は気化し、「ただ年をとっただけの自分」だけが残される。

平々凡々な日常からの脱却

抜け殻のような「未来の自分」を生み出さないために必要なのは、日々、「心から楽しく生きる」ということではないだろうか。

彼女たちには、「日々を楽しく生きる」という要素が欠落していた。そして、前作の主人公、IKKU(イック)とTOM(トム)には、それがあった。

一見、意味のない活動だとしても、それで、自分が変われるかもしれない、という期待を持つことは可能である。

未来に対して期待できるということは、そのまま、「生きる原動力」となるのだ。

時間の流れに身をまかせて「思考停止」した状態では、自分が何を「やりたい」のかさえ思い出せない。

ときには、あらゆる外的な情報を遮断して、自分についてじっくりと考えてみる時間を用意するのもいいかもしれない。

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