ヒップホップ・クラシックについての考察
毎年リリースされる多くの作品をすべて追っていくのはお金も時間もかかる。ヘタな鉄砲を数撃ってハズレ作品ばかりを聴くのもつらい。 そこで、コストパフォーマンスの高い「ヒップホップ・クラシック」と呼ばれる作品を紹介する。
目次
ヒップホップ・クラシックとは?
クラシック音楽は、時代に左右されることなく現代でも世界中で演奏されている音楽。それならば「ヒップホップ・クラシック」というのは、10年経っても聞きつづけることが可能なヒップホップ作品というわけである。
1990年代のヒップホップ・クラシックはたったの23枚
雑誌『The Source(ザ・ソース)』をご存知だろうか。この有名なアメリカのヒップホップ雑誌のなかの名物コーナー「5本マイク・レーティング・システム」に注目してほしい。なぜなら、ここでの評価がすべてのヒップホップ作品の基準となるからだ。
これまで無数にリリースされた作品たちに満点ついたことはほとんどない。1990年から1999年までの10年間でもわずか23枚。実に厳しい採点なのだ。つまり、ここで満点を手にした作品こそが、実質「ヒップホップ・クラシック」に認定されたことになる。
そこで今回は、満点を取った作品のなかでもとくにオススメの作品を以下にピックアップ。ぜひ参考にしてみてほしい。
ヒップホップ・クラシックのなかでも特にコスパの高い3枚
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The Low End Theory (1991)
A Tribe Called Quest(ア・トライブ・コールド・クエスト)
1990年ごろ台頭した、いわゆるニュースクールの象徴的なクルーがネイティブ・タン。このクルーの中心グループのひとつが、A.T.C.Q.である。JAZZネタのトラックとゆったりとしたビートはニュー・ジャック・スウィング主流だった当時にはセンセーショナルだった。なかでも歴史的名盤として名高いセカンド・アルバム。 …詳細を見る -
Illmatic (1994)
Nas(ナス)
西海岸のG-Funk(ジー・ファンク)がブレイクしていたヒップホップ・シーン。それに対抗するかのように東のトップ・プロデューサーたちが集結し、この男を担いだ。奇跡的なトラックの数々と、芸術的なフロウをみせるNas(ナス)のRAPが融合した、90年代ヒップホップの最高傑作のひとつ。 …詳細を見る -
Life After Death (1997)
Nas(ナス)
バッドボーイの稼ぎ頭だった巨漢MC。その体格からは想像できないほどの緻密なライミングと、リリカル・センスは唯一無二。2Pac(トゥパック)射殺の1年後、このアルバムをリリースする直前に殺害された。メディアやギャングを巻き込んだ、これほど大きなビーフはこの一件以降なくなったようだ。 …詳細を見る
ヒップホップ・クラシックのカタログ
上記3枚を含むすべての5本マイク獲得作品は、永久保存版!! 米「ソース誌」5本マイク名盤リストでも紹介している。
また、ヒップホップ・フレーバー独自の評価で得点の高いアルバムを紹介しているので参考にしてみてほしい。
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永久保存版!! 米「ソース誌」5本マイク名盤リスト
ヒップホップ音楽のベンチマーク的作品集。 -
1990年代のヒップホップ殿堂入り作品20枚
ヒップホップ・フレーバー推薦!! おすすめ作品集。
ヒップホップの基礎知識
ヒップホップ用語関連
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ヒップホップ基礎用語のまとめ
これだけは知っておきたいヒップホップ用語の基礎。 -
5分でわかるライミング講座
韻(いん)の概念を理解すれば、さらにヒップホップが楽しく聴ける。 -
15分でわかるサンプリング講座
おなじ楽曲をつかって複数のヒップホップ音楽が生まれる。 -
HIP HOPスラング辞典
何の変哲もない単語はヒップホップではこういう意味だった。
ヒップホップを楽しむためのコツ
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Jazzyヒップホップを楽しむための最初の1枚
ジャズネタを使用したヒップホップ作品をジャジー・ヒップホップと呼ぶ。なんとなく敷居が高そうに思うかもしれないが、リスナーは好きな曲を聴いていればいい。
ノリノリのハードコアヒップホップに対して、癒し効果さえありそうなジャジー・ヒップホップを聴きたい気分の時もあるだろう。
まずは1枚。ジャジー・ヒップホップにさわってみよう。 -
1990年代HipHopを代表するプロデューサー8人
ヒップホップの楽曲はプロデューサーによって意外と色分けされている。使うネタの傾向や、ビートの刻み方など、自分好みのプロデューサーを探してみよう。今回はとくに有名な8名のプロデューサーとともに、提供した楽曲の収録アルバムをまとめてみた。 -
サンプリングについての考察
ヒップホップの作曲にはサンプリングという手法が使われていた。原曲のオイシイ部分を切り貼りするこのサンプリング手法は、楽曲の権利問題を生んだ。有名な原曲をそのまま使用して金儲けをたくらむことも可能である。このため、時代とともにサンプリングの規制は強まっていった。 -
ヒップホップ・クラシックについての考察
何年たっても色あせず、今でも世界中で聴かれているクラシック音楽。このように何年たっても色あせないヒップホップ作品を、ヒップホップ・クラシックと呼ぶ。このヒップホップ・クラシックを数枚紹介。ここからヒップホップ作品のラインナップを広げてほしい。