1990年代前後に形成されたヒップホップ・クルー

おもなヒップホップ・クルーのまとめ。

1990年代前後に形成されたヒップホップ・クルー

おなじ志をもって複数のグループやアーティストが集まり、クルーを形成する。規模はさまざまで、それぞれ特有の色をもつ。

大概のクルーにはプロデューサーが所属している。クルーごとに作品のテイストがことなるのはこのためだ。つまり、好きなプロデューサーが所属しているクルーを見つければ、自分の好みのヒップホップ音楽を見つけるのに大いに役立つだろう。

ヒップホップ・クルーの一覧

各クルーの解説

The Juice Crew(ザ・ジュース・クルー)
The Juice Crew
ザ・ジュース・クルー
Marley Marl(マーリー・マール)率いるヒップホップ集団。メンバーのほとんどが、「コールド・チリン」というレコード・レーベルに所属し、Marley Marl(マーリー・マール)が多くの楽曲を手がけている。

Big Daddy Kane(ビッグ・ダディ・ケイン)や、Kool G Rap(クールGラップ)など、リリシストと呼ばれるクラスのMCも所属している名門的なクルー。

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B.D.P. Posse(ビー・ディー・ピー・ポッセ)
B.D.P. Posse
ビー・ディー・ピー・ポッセ
Boogie Down Productions(ブギー・ダウン・プロダクションズ)のKRS-One(ケー・アール・エス・ワン)を中心に形成されたクルー。Mad Lion(マッド・ライオン)や、Channel Live(チャンネル・ライヴ)といった、個性豊かなアーティストが所属している。

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Hit Squad(ヒット・スクワッド)
Hit Squad
ヒット・スクワッド
ハードコア・ヒップホップ・デュオ、EPMD(イー・ピー・エム・ディー)が中心となって形成されたクルー。Das EFX(ダス・エフェックス)や、K-Solo(ケイ・ソロ)といった、威勢の良いアーティストが脇を固めてる。

EPMD(イー・ピー・エム・ディー)のメンバーの不仲により、片割れのErick Sermon(エリック・サーモン)が脱退。残ったParrish Smith (パリッシュ・スミス)を中心にクルーを存続させるも、あまり長くは続かなかった。

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Native Tongues(ネイティブ・タン)
Native Tongues
ネイティブ・タン
ニュースクールの幕開けを意識させたクルー。社会的、政治的な内容を排除し、日常会話のようなリリック(歌詞)でRAPしているのが特徴。

暴力的な要素は感じられず、たのしくヒップホップを聴くことができる。また、サンプリング・ネタにJazzやレア・グルーヴなどを取り入れたサウンドが画期的だった。

耳当たりもよく、おしゃれな曲も多いので、ヒップホップの入り口として最適なクルーといえる。

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Gang Starr Foundation(ギャング・スター・ファンデーション)
Gang Starr Foundation
ギャング・スター・ファンデーション
Gang Starr(ギャング・スター)を中心に結成されたクルー。所属アーティストの多くは、DJ Premier(DJプレミア)によってプロデュースされている。

Group Home(グループ・ホーム)や、Jeru The Damaja(ジェルー・ザ・ダメイジャ)のデビュー・アルバムなどがその典型。DJ Premier(DJプレミア)の全面プロデュースによるアドバンテージがいかに大きいのかを痛感する。

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Boot Camp Clik(ブート・キャンプ・クリック)
Boot Camp Clik
ブート・キャンプ・クリック
Black Moon(ブラック・ムーン)のBuckshot(バックショット)を中心に結成されたヒップホップ・クルー。おもにDa Beatminerz(ダ・ビートマイナーズ)によるサウンド・プロダクションが、Boot Camp Clik(ブート・キャンプ・クリック)の色を決定付ける。

徹底的に低音を強調したベースラインと、シンプルなビートが特徴。その上には澄んだ上ネタが乗っている。このハーモニーがDa Beatminerz(ダ・ビートマイナーズ)の持ち味だろう。

Black Moon(ブラック・ムーン)の「Enta Da Stage」と、Smif-N-Wessun(スミフン・ウェッスン)の「Dah Shinin'」が代表作。

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Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)
Wu-Tang Clan
ウータン・クラン
Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)は、実力と個性を兼ね備えたMC集団。初期の音源はウータンの総帥であるRZA(レザ)によるもの。メンバーのソロアルバムも含めると、かなりの仕事量であった。

「燃えよドラゴン」などに代表されるアジア系のカンフー映画のテイストを取り入れたサウンドが画期的で話題となった。

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Junior M.A.F.I.A.(ジュニア・マフィア)
Junior M.A.F.I.A.
ジュニア・マフィア
バッド・ボーイの看板ラッパーThe Notorious B.I.G.(ザ・ノトーリアス・ビー・アイ・ジー)の弟分的グループ(クルー)。これまた妹分的存在のLil' Kim(リルキム)もメンバーの紅一点として活動。頻繁にビギー(The Notorious B.I.G.)が参加し、後見人を務めていた。

ビギー率いるJunior M.A.F.I.A.(ジュニア・マフィア)と、2Pac(トゥパック)率いるOutlowz(アウトロウズ)は1990年代最大のビーフ(抗争)となった。

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Def Squad(デフ・スクワッド)
Def Squad
デフ・スクワッド
Redman(レッドマン)を連れて、Hit Squad(ヒット・スクワッド)を抜けたErick Sermon(エリック・サーモン)を中心に結成されたクルー。

ほかにKeith Murray(キース・マーリー)とJamal(ジャマール)が所属。たったの4人で形成されたクルーにもかかわらず、存在感のあるクルーとなっている。

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Ruff Ryders(ラフ・ライダーズ)
Ruff Ryders
ラフ・ライダーズ
Def Jam(デフ・ジャム)からデビューしたDMX(ディー・エム・エックス)の成功をきっかけに立ち上げた、インタースコープの傘下のレコード・レーベル。

バッド・ボーイから移籍してきた3人組ユニットのThe Lox(ザ・ロックス)や、女性ラッパーのEve(イヴ)などが集い、1990年代末に大きなムーブメントを起こした。

関連する楽曲のほとんどは、Swizz Beatz(スウィズ・ビーツ)によるもの。ノリの良い彼の楽曲に勢いのあるメンバーのキャラクターがマッチしている。

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Murder inc.(マーダー・インク)
Murder inc.
マーダー・インク
Irv Gotti(アーヴ・ゴッティ)を中心に結成。看板ラッパーのJa Rule(ジャ・ルール)はハードコアなマッチョ・タイプのMCスタイルで人気を博す。

所属女性シンガーAshanti(アシャンティ)は、まるでアイドル並みの人気があり、Ja Rule(ジャ・ルール)のラップと組み合わせることで、ポップス層の取り込みに成功。商業的な成功をもたらした。

一方で、50Cent(フィフティ・セント)との確執が表面化。暗殺計画まで企てていたというダークな側面が明るみになり、The inc.(ジ・インク)に改名した。

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Flipmode Squad(フリップモード・スクワッド)
Flipmode Squad
フリップモード・スクワッド
Busta Rhymes (バスタ・ライムズ)を中心に結成されたクルー。所属メンバーのRah Digga(ラー・ディガ)は、女性MCとしてはかなりハード・コア。

ほかのメンバーもそれぞれキャラクターが立っている。安定したクオリティを保ったクルーといえるだろう。

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Definitive Jux(ディフィニティブ・ジャックス)
Definitive Jux
ディフィニティブ・ジャックス
Company Flow(カンパニー・フロウ)のメンバー、El-P(エル・ピー)を中心に形成されたクルー。無機質で近未来的なサウンドが特徴。ほかのヒップホップとは毛色の違う音楽性を楽しむことができる。メインストリームの王道ヒップホップから離れたい人にはオススメのクルー。

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Terror Squad(テラー・スクワッド)
Terror Squad
テラー・スクワッド
Fat Joe(ファット・ジョー)を中心に形成されたクルー。ラテン・アメリカ系のクルーとしては、もっとも有名なクルーといえるだろう。

2001年に、当時の主力MCであったBig Pun(ビッグ・パン)が他界。さらに、Cuban Link(キューバン・リンク)とTriple Seis(トリプル・セイズ)も、報酬額の不公平さを理由に脱退。

いちどは空中解散に近い状態であった。しかし、Fat Joe(ファット・ジョー)は再度立ち上がり、クルーの再建をはかる。

女性MCのRemy Ma(レミー・マ)や、シンガーのTony Sunshine(トニー・サンシャイン)らを率いて、新生Terror Squad(テラー・スクワッド)をスタートさせた。。

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The Diplomats(ザ・ディプロマッツ)
The Diplomats
ザ・ディプロマッツ
Cam'ron(キャムロン)、Jim Jones(ジム・ジョーンズ)、Juelz Santana(ジュエルズ・サンタナ)らを中心に形成されたクルー。別名「ディップセット」。

ハーレムを拠点としたこのユニットは、派手なファッションや独自のスラング、多彩なアーティストとのコラボレーションなどで人気を博した。

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G-Unit(ジー・ユニット)
G-Unit
G-Unit
50Cent(フィフティ・セント)を中心に形成されたクルー。以前から親交のあった数人で組織されていたが、50Cent(フィフティ・セント)の成功により、メンバーを増強。

女性シンガーOlivia(オリビア)の加入で、ポップ層への対応も万全となり、Mobb Deep(モブ・ディープ)や、M.O.Pといった長いキャリアを誇るグループも加入。クルーは成熟していきます。

一時期メンバーであったThe Game(ザ・ゲーム)との確執から、ビーフに発展したこともある。

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作品解説

全曲解説:「病める無限のブッダの世界」Buddha Brand(ブッダ・ブランド)
全曲解説:「病める無限のブッダの世界」Buddha Brand(ブッダ・ブランド)
Buddha Brand(ブッダ・ブランド)が2000年にリリースした2枚組フルアルバム「病める無限のブッダの世界」。これをパフォーマー兼プロデューサーのDev Large(デヴ・ラージ)が全曲解説。
ひとつひとつの楽曲に思い入れがあるのがわかる。
全曲解説:「The Album」Dev Large(デブ・ラージ)
全曲解説:「The Album」D.L(ディー・エル)
Dev Large(デヴ・ラージ)ことD.L(ディー・エル)本人によるソロアルバム「The Album」の全曲解説。
ほとんどの曲は何年も前から存在し、機が熟すのを待っていたという。日本トップクラスのサンプリング・センスをもったD.L(ディー・エル)珠玉のアルバムに隠れたエピソードに迫る。
全曲解説:「オーディオビジュアル」小林大吾
全曲解説:「オーディオビジュアル」小林大吾
小林大吾(コバヤシ・ダイゴ)のサード・アルバム「オーディオビジュアル」のヒップホップ・フレーバーによる全曲解説。
自らを吟遊詩人と名乗るだけあって、表現力が素晴らしい。圧倒的な語彙力、そして緻密な設定に裏付けられた楽曲のひとつひとつが推敲を重ねに重ねた作品となっている。

アーティスト解説

吟遊詩人 小林大吾(コバヤシ・ダイゴ)特集
吟遊詩人 小林大吾(コバヤシ・ダイゴ)特集
ジャパニーズ・ヒップホップが独自進化したひとつのかたち。ポエトリーRAPとも少し違う。圧倒的な語彙で繰り広げられる小林大吾ワールドは、他では味わうことができない。

まとめ記事

1990年代前後に形成されたヒップホップ・クルーまとめ
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ヒップホップ発祥の地をめぐっての抗争。
1990年前後に運営していたヒップホップ・レーベルまとめ
1990年前後に運営していたヒップホップ・レーベルまとめ
インターネット上で勃発した日本で初めてのビーフ。

ヒップホップの歴史